8月シアターイメージフォーラムにてロードショー

監督インタビュー

この作品を練り上げる段階、または撮影に入ってから何が一番の壁でしたか?

中国で映画を作る一番のハードルは、自分の作品が母国で日の目を見るために、自分がただ作りたいと思っている作品では駄目だという事です。中国では、まるで地雷のようにルールが多い。自分のセンサーシップに則り、地雷を踏まぬようつま先で進んで行けば、目標地点とかけ離れた場所に着いてしまいます。もちろん、地雷を踏んでしまい作品が爆破されることも有りえます。

小さな赤い花は中国の作家 ワン・シュオの半自伝的小説「Could be beautiful/看上去很美」に基づいています。この小説にどのような魅力を感じたのですか?
この映画の為に6年間準備してきました。私が『ただいま』(1999)の編集作業を行っているとき、ワン・シュオからこの本を頂き、1999年イタリア滞在中に初めて読みました。本を読んでいる途中、娘のユアンユアンと一緒に「The Flying Elephant」と言うアニメを見ていました。
私の娘が、赤ちゃん象がお母さん象に寄り添っているのを見て泣いているのに気がつきました。
どんなに幼かろうが(娘は当時2歳にもなっていませんでした)、いろんな感情を持っているとその時知ったのです。

そして、ワン・シュオが過去についてよく覚えていることにも驚きました。
自分の過去の記憶は断片的で不完全なものであるため、私も彼と同じような事をしました。
ワン・シュオの本から映画を作るという事は、自分の子供時代を必死に思い出し、再発見することでした。
あなたの幼少期の体験はいかがでしたか?なじめましたか、それとも映画の主人公のチアンの様に反抗的な子供でしたか?
私はチアンのようでした。病気がちで他の子どもが楽しんでいるのに一緒に楽しむ事は出来ず、彼らの仲間には入れませんでした。

それより、イタリアから戻ると、私はすぐにワン・シュオと脚本家のニン・ダイと作品に取り掛かりましたが、物語をどう表現するか悩みました。 去年、やっと「これだ!」と思いつきました。
きっかけは何だったのでしょうか?
最初私は子供の目線で物語を語ろうと試行錯誤していたのですが、それはとても難しいことだと分かりました。去年、最終的に上手く物語を語るには、私自身、つまりは監督の目線で語らなければならないと気付いたのです。

私はアニメを実写版にするように映画を作ろうと思いつきました。 事実も少し含んではいるが、寓話のように現実的ではない。子供いっぱいの映画という発想は、“ガリバー旅行記”の小人の国を描いているようでワクワクしました。

『小さな赤い花』は一般的な中国の子供と似ていないように思うのですが、それは意図的でしょうか?
過去の子供向け映画は子供達をまるで大人のように扱っていました。この作品で現実的な子供たちの姿を映画に再現しようと思ったのです。それに、監督初期作品に子供を題材とした映画を作ったことがあります。「媽媽/MAMA」(1992)という11歳の男の子の話です。 私はその映画に『品行ゼロ』(2002年の韓国映画)をトリビュートしています(子供が羽毛枕から羽を抜くシーン)。
この作品には場所、時代設定が明確にはされていませんが、ワン・シュオが幼少期だった頃の1950〜60年代の北京だと思うのですが。
私は寓話の時代背景の無さに興味を持ちました。現在の幼稚園児も昔の幼稚園児もあまり変わらないと思ったのです。それは、彼らが同じ問題を抱えているからです。

多くの心理学者は3歳児からの年代は人間関係を築く決定的な年代だと言います。ですから、私はこの年代の子供達を捉え、性格、そして個々の社会関係の成長を描こうと思いました。

人は、子供時代は楽しかったと言います。しかし、この映画を作っていく段階で、子供時代は人が思うようなものではありません。子供の人生は、もっと複雑で、そして希望、失望、特に寂しさは大人同様で、一生残存する可能性もありうるのです。

子供たちの周りに巻き起こる、「力/権力」と「しきたり/教育」の事を水面下で語っているように捉えられるのですが。
私は力/権力の発生に興味をもっています。権力がどのように人の性格に影響するか、ということです。 自由意志VS支配 つまり、個人VS一般大衆 ということですが、私は、これらの問題に興味があり、特に子ども時代の話は、どのように権力関係が築き上げられるかが、早い段階から見受けられるのが面白いと思います。
小さな赤い花』に出演している子どもたちはどのように捜したのですか?
我々は4〜5ヶ月間スタッフを集め、北京中をくまなく探しました。子役募集の新聞広告を出し、大きな幼稚園を全て回りました。20,000人もの子どもをインタビューしたと思います。これは骨の折れるような作業でした。特に本の作者であるワン・シュオの幼い頃にとてもよく似ている5歳のドゥン・ボウェンと出会うまでは主役の男の子役の配役が難しかったです。彼と出会ったことは、とても奇跡的でした。彼を大勢の中から見かけたとき、「この子だ、彼しかいない」と思いました。

もちろん彼は演技の経験など全くないのですが、彼の目を一度見たら、彼が適役だと思いました。なぜなら彼の目が人を惹きつけるからです。テストスクリーンの時、彼は手足が一緒に歩き始め、それがとても真剣で面白かった。彼のその真剣さが魅力的だと思います。

ドゥン・ボウェンの小さな相手役のナン・ユアンは監督の娘さんのニン・ユアンユアンが演じています。 娘さんと仕事をするのはどうでしたか?
モニターで娘を違った視点で見られる貴重な経験でした。もちろん、娘が私を驚かすことは多々ありました。私が幼い子供を主役にした作品を作る自信は、娘からきています、昨年、私が監督として制作したTVシリーズで娘はしっかりと演技をしました。この作品で、彼女は演技ができるだけでなく、スクリーンの中と現実とでは別人になる事が分かりました。