アメリカ社会の権力構造とメディアの暴力に取り組んできたハリウッド屈指の「社会派監督」、オリバー・ストーンが、アイゼンハワーからブッシュまでの歴代米国大統領10人と渡りあってきた世界でもっとも象徴的で、生誕80周年をむかえ何かと話題になっている人物、伝説のキューバ最高指導者フィデル・カストロに迫った歴史的ドキュメンタリー。監督自身がインタビュアーを務め、3日間にわたるインタビューと30時間以上の撮影から半世紀にわたる政治の変動と戦いつづけてきた「ちいさな強国」の指導者の素顔が今はじめて世界に向けて映し出されるー。

穏やかだが、時には批判的な問いを投げかけるオリバー・ストーンと、カメラと大衆のまえでいかにして振舞うべきかを知り尽くした“社会主義国唯一の成功者”フィデル・カストロ。長時間にわたる密着取材は2人の間に確実な親近感を醸し出した。ナイキやハリウッド映画『タイタニック』が大好きなどとお茶目な面を見せつつも、ある時は真摯に質問に答え、またある時は本題をうまくかわすカストロ。それに対し、オリバー・ストーンは他では語られることのなかった同志チェ・ゲバラとの悲しい別離や、一触即発の緊張が全世界に拡がったキューバ危機の真相、そして謎に包まれていた私生活まで、20世紀最期の革命家の明晰な考えや隠された真実を引き出すことに成功している。

本作は、世界各国の映画祭で上映されたにも関わらず、アメリカ本国での公開が禁止された。それは、アメリカ政府にとって「不快」であり「批判的」であるという理由であった。

スペインのTV局がオリバー・ストーン監督へ、フィデル・カストロのインタビューを打診したことから、このプロジェクトがスタートした。カストロは「いつでも撮影をやめることが出来るなら」という条件の下、このインタビューに同意した。製作チームは30時間以上にも亘りインタビューをおさめたが、カストロはただの一度もカメラを止める要請はしなかった。本作は、2003年1月のサンダンス映画祭にてプレミア上映され、その後もベルリン国際映画祭をはじめ数々の映画祭にて上映されたにもかかわらず、アメリカ政府の「検閲」によってアメリカでの上映は禁止された。


2006年7月、フィデル・カストロが病に倒れ、現在政治的権限を暫定的に弟のラウル・カストロ第一副議長他に引き渡している。