家宝

  CAST・STAFF Introduction Story


悪魔か、それとも天使か。

監督・脚色・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:レオノール・バルダック、レオノール・シルヴェイラ、リカルド・トレパほか。

2002年 カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
2002年 /ポルトガル=フランス合作/132分/35mm/カラー/:1.66ヴィスタサイズ/ドルビーSRD/


CAST・STAFF/キャスト・スタッフ
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監督・脚色・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ www.madragoafilmes.pt/manoeloliveira/
[Manoel de Oliveira]

1908年12月11日(12日という説もある)ポルトガル北部ポルト生まれ。学生時代は 映画とスポーツに熱中し、18歳からは陸上選手、レーシングカー・ドライバーとして 活躍を始め、国内外の賞に輝く。27年から29年にかけて地元のドウロ河で労働する 人々を描いた短篇記録映画に取り組むが、資金不足により中断。この後、リーノ・ ルーポ監督が開校した俳優養成学校に兄と入学し、28年には同監督作にエキストラ出 演。31年「ドウロ河」を完成させ、映画祭にも出品して好評を博した。ワイン製造や 家業を手伝いながら、短篇にも取り組み、42年に初めての劇映画「アニキ・ボボ」を 発表するが興行で失敗し負債を負う。その後は映画を離れるが、54年にサン・パウロ 映画祭で再発見されたのを期に、再び映画に取り組むようになり、数本の短篇が各国 の映画祭で賞を獲得した。  再び映画界を離れるが、71年長篇「過去と現在」で注目を集める。パオロ・ブラン コと出会い、彼の製作で「フランシスカ」(81)を発表。以来、クローデル劇《繻子の 靴》の映画化(85)、ビュル・オジエ主演「O Meu Caso」(86)、怪奇オペラ「カニバ イシュ」(88)といった独創的な作品で高い評価を得る。90年は「ノン、あるいは支配 の虚しい栄光」でカンヌ映画祭審査員特別功労賞を受賞。『アブラハム渓谷』(93)で 世界的に絶賛され、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ主演『メフィス トの誘い』(95)や、マルチェロ・マストロヤンニの遺作『世界の始まりへの 旅』(97)、カンヌ映画祭審査員特別賞を獲得した『クレーヴの奥方』、ミシェル・ピ コリ主演、マルコヴィッチ、ドヌーヴ出演の『家路』(01)などを精力的に発表す る。2001年はヴェネツィア映画祭に、セミ・ドキュメント「Porto da minha infancia (わが幼年時代のポルト)」を特別出品するにあたり、これまでの功績に対 しブレッソン賞を受賞。続いて本作に取り組み、独創的な作風でカンヌ映画祭でも評 判となる。2002年は、ペドロ・アブルニョーザの新曲「Momento」のミュージック・ クリップを監督したのに続き、ドヌーヴ、マルコヴィッチ、イレーネ・パパス、シル ヴェイラ、シントラらお馴染みの面々とステファニア・サンドレッリという豪華キャ ストを集結させて、客船を舞台にした「Um Filme Falado」の撮影を終えるなど、94 歳にして驚異的な創作力を維持している。

主な監督・出演作品 ([f]=映画祭題)
31 : ドウロ河[f] Douro, Faina Fluvial
32 : Estatuas de Lisboa
38 : Miramar, Praia das Rosas
  : Ja Se Fabricam Automoveis em Portugal
42 : アニキ・ボボ[f] Aniki Bobo
56 : O Pintor e a Cidade
59 : O Pao
71 : 過去と現在 昔の恋、今の恋[f]
  : O passado e o presente
75 : Benilde ou a Virgem Mae
78 : Amor de Perdicao
81 : フランシスカ[f] Francisca
82 : Visita ou Memorias e Confissoes
83 : Nice - A propos de Jean Vigo
  : 文化都市リスボン[f] Lisboa Cultural
85 : Le soulier de satin
86 : Mon cas
88 : カニバイシュ[f] Os Canibais
90 : ノン、あるいは支配の虚しい栄光[f]
  : Non, ou a Va gloria de mandar
91 : 神曲[f] A divina comedia
92 : O dia do desesper
93 : アブラハム渓谷 Vale Abraao
94 : 階段通りの人々 A Caixa
95 : メフィストの誘い O convento
96 : Party
97 : 世界の始まりへの旅
  : Viagem ao principio do mundo
98 : 不安[f] Inquietude
99 : クレーヴの奥方 La lettre
00 : Palavra e Utopia
01 : 家路 Je rentre a la maison
  : Porto da minha infancia (公開予定)
02 : 家宝 O Principio da Incerteza
  : Momento (音楽クリップ)
03 : 永遠の語らい Um Filme Falado



レオノール・バルダック (カミーラ)
[Leonor Baldaque, Camila]

オリヴェイラが映画化した「フランシスカ」(81)と『アブラハム渓谷』(93)、 そして本作の原作者アグシティナ・ベッサ=ルイーシュの孫娘。オリヴェイラのオムニ バス映画「不安」(98)にベッサ=ルイーシュの原作パートである第3話「川の母」篇に 出演して女優デビュー。続く『家路』(01)ではミシェル・ピコリ扮する老いた舞台 俳優ヴァランスに思いを寄せる若手女優シルヴィア役で始めての大役を演じた。同 年、オリヴェイラが自身の青年の頃を描いた「Porto da minha infancia」にエラ役 で登場。本作で初めてヒロイン役を与えられると、天使とも悪魔ともつかない複雑な 女性像を見事に体現し、批評家たちの絶賛を浴びた。


レオノール・シルヴェイラ (ヴァネッサ)
[Leonor Silveira,Vanessa]

1970年リスボン生まれ。リセ・フランセで学びながら演劇部で活躍し、イヨネスコ 作《禿の女歌手》などを演出する。17歳の時、オリヴェイラの「カニバイシュ」 (88)の小さな役を得て、映画初出演。90年には「ノン、あるいは支配の虚しい栄 光」にヴィーナス役で出演。以来、「神曲」(91)、ヒロインを演じた『アブラハム渓 谷』、『メフィストの誘い』(95)、「Party」(96)、『世界の始まりへの旅』(97)、 「不安」の第2話「スージー」、『クレーヴの奥方』(99)、「Palavra e Utopia」 (00)、『家路』(01)と毎回出演し、「Porto da minha infancia」(01)ではオリヴェ イラが青年時代に出会った男をたぶらかすヴァンプ役でゲスト出演。本作でもヴァ ネッサを魅惑的に演じた。なお、新作「Um Filme Falado」(03)では史跡探索する 船客のガイド役のヒロインを演じ、自分の娘と初共演している。他にもジョアキン・ ピントの「四大元素/炎」[f](92)、「リスボン6時-14時」[f](94)やヴィセンテ・ ジョルジ・スィルヴァの作品にも度々出演している。


イザベル・ルト (セルサ)
[Isabel Ruth ,Celsa]

1940年4月6日ポルトガル、タマル生まれ。バレエを学び、リスボンのバレエ団 「Grupo Experimental de Ballet」で前衛的なバレエを演じる。映画界からも注目さ れ、パオロ・ローシャの『青い年』(63)、『新しい人生』(66)、アントニオ・デ・マ セドの「Domingo a Tarde」(66)といった作品に主演。その後は、ステージ活動に専 念していたが、82年にパオロ・ブランコによって、ジョアン・ボテリョの「Conversa Acabada」に出演。以後、ローシャの「Les Montagnes de la lune」(88)、英国映画 『ベアスキン』(89)、テレザ・ヴィリャベルデの「アレックス」[f] (91)と「Os mutantes」(98)、ジャン=クロード・ビエットの「ポルトガルへの旅」[cs] (98)、 フェルナンド・ロペスの「O Delfim」(02)といったブランコ製作作品に次々と出演す る。また、オリヴェイラ作品は『アブラハム渓谷』以来、『階段通りの人々』 (94)、『世界の始まりへの旅』、「不安」の第3話、『家路』に登場させ、今回は 物語の鍵となるセルサ役を好演した。


リカルド・トレパ (ジョゼ"青い雄牛")
[Ricardo Trepa, Jose Feliciano]

1972年10月28日ポルトガル、ポルト生まれ。祖父オリヴェイラの「ノン、あるいは 支配の虚しい栄光」に兵士役でエキストラ出演。その後、『アブラハム渓谷』、 「Party」にも端役出演し、オムニバス「不安」の1篇でヒロインの恋人役として出 演。2000年はアントニオ・ヴィエイラ神父の生涯を描いた「Palavra e Utopia」で、 神父の青年時代という大役を演じた。続く『家路』では舞台《瀕死の王》の舞台俳優 役で顔を見せた。「Porto da minha infancia 」ではオリヴェイラの青年時代という 大役を演じた。なお、他にTVシリーズやジョアン・ボテリョの「トラフィコ」 [f](98)などにも出演している。


イヴォ・カヌラシュ (アントニオ・クララ)
[Ivo Canelas, Antonio Clara]

93年ポルトガルでロケを行ったパトリス・シェロー監督の大作『王妃マルゴ』(94) にエキストラ出演。97年にペドロ・カルダシュ監督の「Entrada em Palco」(97)で本 格的にデビューし、 続いてTVシリーズ「Riscos」に出演してその名を知らしめる。 翌年はリタ・ヌヌシュの「Menos 9」、ジョルジ・カルドゾの「Debora」や「Diario de Maria」といったシリーズにも出演し、99年はイヴォ・フェレイラ監督の映画「O Que Foi?」やデュラス作《死の病》に出演する一方、アンドレ・ドライユ監督の短篇 「Liga-me...」の撮影を担当。2000年はドライユの長篇「Ate Amanha」でも再び撮影 を手掛けるとともに、ジョルジ・スィルヴァ・メロの「Antonio, Um Rapaz de Lisboa」、ルイ・ゲーラの「Monsanto」にも出演した。2001年よりグルベンキャン内 のリー・ストラスバーグ演劇院で演技を学び直し、今回は大役を得て初めてオリヴェ イラ作品に出演した。


ルイーシュ・ミゲル・シントラ (ロペール弟)
[Luis Miguel Cintra, Daniel Roper]

1949年4月29日マドリード生まれ。両親はポルトガル人。68年よりリスボン演劇大 学で役者、演出家として活動を始める。73年ジョルジ・シルヴァ・メロと共に劇団 〈Teatro da Cornucopa〉を旗揚げし、モリエール、ブレヒト、ゲーテ、シェイクス ピア、ロルカ、ベケットなどを幅広く演出・出演して高い評価を得る。82年ジョアン ・セーザル・モンテイロの「Silvestre」で映画進出し、続いてパウロ・ローシャの 『恋の浮島』の主演で広く知られる存在となる。オリヴェイラとはドキュメンタリー 「文化都市リスボン」(83)に協力したのをきっかけにコラボレーションを開始して 以来、欠かせない存在。なお、リスボンのサン・カルロシュ歌劇場では、87年にラ ヴェル《子供と呪文》とバーセル《タイドーとエネアス》のダブル・ピル(2本立て公 演)、2000年はヘンツェ《イングリッシュ・キャット》、2002年は《兵士の物語》と オペラ・音楽劇なども手掛け、2003年春にはファニー・アルダン主演でオネゲル《火 刑台のジャンヌ》を演出する。

原作:アグシティナ・ベサ=ルイーシュ
[Agustina Bessa-Luis]

1922年10月15日、ポルトガル北部ドウロ地方アマランテのヴィラ・メア生まれ。48 年に「Mundo Fechado (閉ざされた世界)」で小説家デビューし、54年には4作目の「A ibila (巫女)」が評判となる。以来、60近い作品を精力的に発表し、現代ポルトガル 文学界を代表する存在となる。61-62年にローマにあるヨーロッパ作家協会理事を務 めたのを始め、ブラジル学士院、リスボン科学アカデミーのメンバーとしても活動。 更に80年にサンティアゴ・デ・エスパーダ勲章、88年にポルト市名誉メダル、89年フ ランス政府からも勲章を授与されるなど、ヨーロッパ文壇の第一人者として活躍して いる。オリヴェイラはベサ=ルイーシュの小説「Fanny Owen」を気に入り、「フラン シスカ」として映画化。以来、オリヴェイラとの交流を始め、彼の半自伝的小説「A Vista; ou Memorias e confesseos (訪問、または回想と告白)」のフィクション部分 を執筆。続いて短篇小説「絶望の淵で」の映画化企画が持ち上がるが、実現には至ら ず、代わりにペソアらの詩を織りまぜて《De Profundis (深遠)》として舞台化し、 87年夏のサンタルカンジェロ演劇祭でオリヴェイラの演出で上演される。92年オリ ヴェイラは「ボヴァリー夫人」を原案にした台本を彼女に依頼し、小説『アブラハム 渓谷』として先行出版された後に映画化。95年は「As Terras do Risco」が原案とな り『メフィストの誘い』として映画化され、96年の「Party」では台詞を担当(後に小 説化)。98年の3話のオムニバス「不安」ではミステリアスな第3話「川の母」が短篇 を元に映画化され、「Porto da minha infancia」には特別出演した。そして今回、 2001年に出版したばかりの「Joia de Familia (家宝)」が元に本作として映画化さ れ、2002年にはこれを逆に小説化している。2002年4月「東京国際ブックフェア 2002」と京都外語大学での講演のため来日している。

撮影:レナート・ベルタ
[Renato Berta]

1945年スイスの伊語圏ベッリンツォーナ生まれ。60年より技師見習いを始め、65年 より2年間《ローマ映画実験センター》で撮影技術を学ぶ。卒業後、撮影監督とな り、ダニエル・シュミットの『ラ・パロマ』、「天使の影」、『ヘカテ』、 『デ ジャ ヴュ』、『季節のはざまで』、アラン・タネールの「世界の中心」、 『ジョナスは2000年に25歳になる』、「メシドール」のらの一連の作品を手掛けて" スイス・ヌーヴェル・ヴァーグ"の歴史と成長の共に歩み、タネールの傑作「サラマ ンドル」[f](70)、シュミットの『トスカの接吻』(83)でEDP撮影賞を受賞。同時にス トローヴ&ユイレとは「オトン」、「歴史の授業」、「フォルティーニ/カーニ(シナ イの犬たち)」、「エンペドクレスの死」、「労働者、農民たち」で組み、驚異的な 映像を残している。82年よりフランスで活動を始め、パトリス・シェローの『傷つい た男』(83)を始め、ロメールの『満月の夜』(84)、リヴェットの『嵐が丘』(85)、テ シネの「イノセンツ」[f](87)、ジャコの『肉体と財産』(86)、レネの『恋するシャ ンソン』(97)、シャブロルの「チョコレートをありがとう」[f](00)らといった作品 を次々と手がける。セザール賞も『さよなら子供たち』(87)で受賞し、『ランデ ヴー』(85)とレネの2部作「スモーキング/ノー・スモーキング」[cs](94)で候補と なった。90年代より、アモス・ギタイの「ヨム・ヨム」(97)、「カドッシュ」(98)、 『キプールの記憶』(00)、ロベール・ゲディギアンの「Marie-Jo et 2 amours」(02) などを担当し、オリヴェイラとは「Party」を皮切りに、『世界の始まりへの旅』、 「不安」、「Palavra e Utopia」に続いて、本作が5度目のコラボレーションとなっ た。なお、84年「アラン・タネール映画祭」で監督の代理で来日して以来、日本への 親交を深め、88年には「レナート・ベルタ映画祭」も開催された。94年にはシュミッ トの『書かれた顔』で日本各地を撮影して回った。



Introduction/解説
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時に清楚に、時に妖しく。
不思議な女の魅力に、やがて愛する者たちの運命さえも翻弄される―。


驚異的な94歳の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ
『クレーヴの奥方』(99)では17世紀の恋愛小説を現代に甦らせ、「Palavra e Utopia (言葉とユートピア)」(00)を挟んだ後の『家路』(01)では、老俳優が自らの衰 えや孤独と向き合いながら生きていく様を見つめた、ポルトガルの巨匠マノエル・ド ・オリヴェイラ。94歳を迎えたオリヴェイラは90年代以降、年に1本という驚くべき ペースで新作を世に送り出しているが、21世紀に入っても、その勢いは衰えるところ を知らないようである。2001年は『家路』に加え、自らの生まれ育った故郷ポルトを 懐かしく振り返るセミ・ドキュメンタリーの中篇「Porto da minha infancia(わが 幼少時代のポルト)」をヴェネツィア映画祭で発表し、続く2002年のカンヌ国際映画 祭では、本作『家宝』をコンペテイション部門に出品し、この恐るべき劇映画最長老 監督に惜しみない賞賛が送られたのだった。

オリヴェイラ流ファム・ファタールの物語
ドウロ河流域に広がる豊かな丘陵地帯にある"聖母マリア荘"。この屋敷の遺産を相続 したアントニオと結婚した美しいカミーラは、その悪魔とも天使ともつかない魅力 で、人々を惹きつけずにはおけなかった。彼女を愛するメイドの息子ジョゼと、アン トニオの元"恋人"ヴァネッサもその1人であり、危うげなカミーラの振る舞いは、次 第に4人の運命をも大きく狂わせようとしていた…。 原作はオリヴェイラ監督の古くからの友人であり、また創作意欲をかきたてる存在で もある、現代ポルトガルを代表する女流作家アグシティナ・ベサ=ルイーシュ。「フ ランシスカ」(81)、『アブラハム渓谷』、「Inquietude(不安)」(98)の第3話 など、これまでにも彼女の小説をたびたび映画化し、また『メフィストの誘い』 (95)では小説を原案にイメージを膨らませて脚本を執筆しているオリヴェイラ監督 は、本作では原作の意味深な台詞をそのまま生かしながら、オリヴェイラ流のアイロ ニーのエッセンスを加え、謎めいたファム・ファタールの物語を作り出した。

輝きを放つ2人のミューズ
『アブラハム渓谷』のエマを彷彿とさせる不思議な女性カミーラを演じるのは、ベサ =ルイーシュの孫であり、本作でヒロイン役に抜擢されたレオノール・バルダック。 貞淑な妻かと思いきや、時にまわりの人々を惑わす複雑な女性像を見事に体現し、批 評家からも絶賛を浴びた。もう1人の妖艶な女性ヴァネッサ役には、オリヴェイラ監 督のミューズとも言うべきレオノール・シルヴェイラが扮しており、その存在感は抜 群である。また、カミーラに心を寄せるジョゼ役にオリヴェイラ監督の孫リカルド・ トレパ、どことなく謎を秘めたアントニオに、これがオリヴェイラ作品初登場となる 期待の新人イヴォ・カヌラシュ、物語の鍵を握る屋敷のメイドのセルサにイザベル・ ルト、密かにカミーラに心を寄せるロペール氏にルイーシュ・ミゲル・シントラと いった、オリヴェイラ常連組とも言える顔ぶれとなっている。

レナート・ベルタによる美しいポルトガルの田園風景
撮影はポルトガル北部ドウロ河流域の葡萄畑が広がる丘陵地帯を中心に行われた。 『アブラハム渓谷』でも舞台となった豊かで美しい渓谷の風景や、"聖母マリア荘"を はじめとする、重厚な家具の設えられた薄暗い部屋に注ぐ微妙な光のニュアンスな ど、レナート・ベルタによる映像は息を呑むほどである。また、ドウロ河に沿って走 る列車に乗るカミーラの姿を繰り返し映し出されるが、そのシーンにはシュモロ・ミ ンツの演奏による、パガニーニ《24の奇想曲》1.ホ長調のソロヴァイオリンの調べが 効果的に使用されている。 その他スタッフには、製作のパウロ・ブランコをはじめ、録音のアンリ・マイコフ、 美術のマリア・ジョゼ・ブランコ、衣装のイザベル・ブランコ、助監督のマリア・ ヴァシュ・ダ・シルヴァ、脚本協力のジャック・パルジ、そして原作のアグシティナ ・ベサ=ルイーシュに撮影のレナート・ベルタと、おなじみの面々がオリヴェイラ監 督を支えている。



Story/物語
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"聖母マリア荘"を受け継ぐ良家の出のアントニオと、 家の切り盛りをしているセルサの息子ジョゼは、幼い頃から一緒に遊んだ仲だった。 アントニオの両親がアフリカで暮らしていたため、セルサが2人を実の子供のように 育ててきたのだ。

ジョゼは"青い雄牛"と呼ばれ、ヴァネッサという美しい女性と組んで、いかがわしい 仕事にも手を染めていた。 彼女は裏の世界にも通じており、バーや娼館を経営していた。そして、アントニオの 恋人でもあった。

しかし、セルサの口添えもあり、アントニオは幼なじみのカミーラと結婚した。 ジョゼは昔からカミーラを愛していたが、彼女はジョゼではなく、愛していない男と の結婚を選んだのだった。

アントニオとカミーラの結婚によって、それまで闇に隠れていた4人の複雑な関係 が、微妙な変化を見せ始めた。 そして、カミーラの存在が、次第に4人の運命を大きく狂わせようとしていた・・ ・。


アントニオとこの家で楽しんで。
侮辱とも思わないわ。
私の愛は見返りを求めないの。

男の人は自分と違う女を演じれば喜ぶもの。
夜から朝まで、私は演技ばかりしてる。
面白いことって、みんな偽りよ。

納得したの。惹かれた訳じゃないわ。
魅力は納得した心ほど続かない。
私たちの結婚は永遠よ。

お前が5歳の時から好きだ。
キッチンの椅子でよくピアノを弾いてたな。
俺に聞かせるためだろ?







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