公開情報 Introduction Story Review


母と娘の地中海を巡る船旅は、遥かなる時空の旅だった。


観客の感情だけではなく、理性も納得させたい。
派手な作品であれば、人は振り向きますが、
それらには実は魅力もなければ深さもありません。
観客はもっと素晴らしいものに値するものだと思います。
私の映画が、観客に何かそれ以上のものをつたえるものであって欲しい、
と思います。

                              −マノエル・ド・オリヴェイラ



監督・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ → オリヴェイラ監督来日インタビューはこちら
制作:パウロ・ブランコ
美術:ゼ・ブランコ
衣装:イザベル・ブランコ
撮影:エマニュエル・マシュエル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ、ステファニア・サンドレッリ、イレーネ・パパス、レオノール・シルヴェイラ

2003年/ポルトガル=フランス=イタリア合作/95分/35mm/カラー/1:1.66/ドルビーSRD
原題:Um Film Falado
配給:アルシネテラン、キノキネマ 協力:ナド・エンタテイメント copyright :Madragoa Filmes, Gemini Films, 2003

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必見!!予告編
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キャスト・スタッフ


監督・脚色・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ www.madragoafilmes.pt/manoeloliveira/
[Manoel de Oliveira]


1908年12月11-12日ポルトガル北部ポルト生まれ。学生時代は映画とスポーツに熱中し、18歳からは陸上選手、レーシングカー・ドライバーとして活躍を始め、国内外の賞に輝く。27年から29年にかけて地元のドウロ河で労働する人々を描いた短篇記録映画に取り組むが、資金不足により中断。この後、リーノ・ルーポ監督が開校した俳優養成学校に兄と入学し、28年には同監督作にエキストラ出演した。
1931年、短編「ドウロ河」を完成させ、映画祭にも出品して好評を博す。以来、家業のワイン製造を手伝いながら、短篇映画にも取り組む。42年に初めての劇映画「アニキ・ボボ」を発表するが興行で失敗し、負債を負う。その後は映画を離れるが、54年サン・パウロ映画祭で同作が再発見されたのを期に、再び映画に取り組むようになり、数本の短篇が各国の映画祭で賞を獲得。再び映画界を離れるが、71年に長篇「過去と現在」を作り、注目を集める。そして、製作者パウロ・ブランコと出会い、彼の製作で「フランシスカ」(81)を発表。以来、ポール・クローデル作の三部作《繻子の靴》の映画化(85)、ビュル・オジエ主演「Mon cas」(86)といったフランス語の作品に取り組み、続く怪奇オペラ「カニバイシュ」(88)で注目されたのに続いて、「ノン、あるいは支配の虚しい栄光」で90年カンヌ映画祭の審査員特別功労賞を受賞。93年は『アブラハム渓谷』(93)で世界的に絶賛され、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ主演『メフィストの誘い』(95)や、マルチェロ・マストロヤンニの遺作『世界の始まりへの旅』(97)、カンヌ映画祭審査員特別賞を獲得した『クレーヴの奥方』、ミシェル・ピコリ主演、マルコヴィッチ、ドヌーヴ出演の『家路』(01)などを精力的に発表する。2001年はヴェネツィア映画祭に、セミ・ドキュメント「Porto da minha infancia (わが幼年時代のポルト)」を特別出品するにあたり、これまでの功績に対しブレッソン賞を受賞。続いて本作に取り組み、独創的な作風でカンヌ映画祭でも評判となる。2002年は、ペドロ・アブルニョーザのミュージック・クリップ「Momento」を監督したのに続き、豪華キャストを集結させて、本作に取り組み、2003年ヴェネツィア映画祭で披露するや、その鋭いメッセージと瑞々しさが絶賛された。また、小津安二郎監督の国際シンポジウムのパネリストとして12月に久しぶりに来日して95歳とは思えぬ若々しい姿で登場し、他を圧倒。なお、2004年早々には新作に取りかかると共に、それが終わるや次の企画が待機するといった具合に、その創作意欲は留まることを知らない。

主な監督・出演作品 ([f]=映画祭題)

31 : ドウロ河[f] Douro, Faina Fluvial
32 : Estatuas de Lisboa
38 : Miramar, Praia das Rosas
  : Ja Se Fabricam Automoveis em Portugal
42 : アニキ・ボボ[f] Aniki Bobo
56 : O Pintor e a Cidade
59 : O Pao
71 : 過去と現在 昔の恋、今の恋[f]
  : O passado e o presente
75 : Benilde ou a Virgem Mae
78 : Amor de Perdicao
81 : フランシスカ[f] Francisca
82 : Visita ou Memorias e Confissoes
83 : Nice - A propos de Jean Vigo
  : 文化都市リスボン[f] Lisboa Cultural
85 : Le soulier de satin
86 : Mon cas
88 : カニバイシュ[f] Os Canibais
90 : ノン、あるいは支配の虚しい栄光[f]
  : Non, ou a Va gloria de mandar
91 : 神曲[f] A divina comedia
92 : O dia do desesper
93 : アブラハム渓谷 Vale Abraao
94 : 階段通りの人々 A Caixa
95 : メフィストの誘い O convento
96 : Party
97 : 世界の始まりへの旅
  : Viagem ao principio do mundo
98 : 不安[f] Inquietude
99 : クレーヴの奥方 La lettre
00 : Palavra e Utopia
01 : 家路 Je rentre a la maison
  : Porto da minha infancia (公開予定)
02 : 家宝 O Principio da Incerteza
  : Momento (音楽クリップ)
03 : 永遠の語らい Um Filme Falado

 


ローザ・マリア:レオノール・シルヴェイラ
LEONOR SILVEIRA, Rosa Maria

パイロットの夫に会いに、リスボン港から娘と船旅でボンベイに向かう歴史学の教師ローザ・マリアを演じるのは、オリヴェイラによれば「子供はいないが、彼氏は本当にパイロットだ」という、ポルトガル女優レオノール・シルヴェイラ。
1970年10月28日ポルトガル、リスボン生まれ。当地のリセ・フランセで学び、在学中は演劇部に在籍し、ウジェーヌ・イヨネスコ作《禿の女歌手》などを演出する。17歳の時、オリヴェイラの「カニバイシュ」(88/DVD発売)の小さな役マルガリーダ役を得て、映画初出演。その後も、「ノン、あるいは支配の虚しい栄光」(90/DVD発売)にヴィーナス役、「神曲」(91/DVD発売)にイヴ役で登場。その後はオリヴェイラ以外の監督作品にも出演を始め、シリーズ「四元素」のジョアキム・ピント篇「炎」(92/別題「二十歳の試練」)とジョアン・ボテリョ監督「空気」(92/別題「僕の誕生日」)、ルイーシュ・ガルヴァン・トルシュ監督
「Retrato de Familia」(92)、ジョアン・ボテリョの「Tres Palmeiras」(94)、ヴィセント・ジョルジ・スィルヴァの「Porto Santo」(97)に次々と出演。93年に『アブラハム渓谷』(93)のヒロインのエマを演じて世界的に注目されるが、オリヴェイラ作品の出演依頼以外は極力控え、その後も『メフィストの誘い』(95)のピエダーデ、「Party」(96)のヒロイン役レオノール、『世界の始まりへの旅』(97)のジュディト、「不安」(98/第二話「スージー」)のスージー、『クレーヴの奥方』(99)の尼僧、「Palavra e Utopia」(00)のクリスティーナ女王、『家路』(01)の女優舞台女優、「Porto da Minha Infancia」(01)のヴァンプ、『家宝』(02)の妖婦ヴァネッサ、と大小問わず魅力的な役を演じて、オリヴェイラ作品には欠かせない女優として活躍している。



デルフィーヌ:カトリーヌ・ドヌーヴ
CATHERINE DENEUVE, Delfina

愛を運ぶ女神デルフィーヌ(イルカ)という名の女性実業家役でマルセイユ港から乗船するのは、『メフィストの誘い』『家路』に続いて3度目のオリヴェイラ作品となる、フランスを代表するトップ女優カトリーヌ・ドヌーヴ。
1943年10月22日フランス、パリ生まれ。父は俳優。13歳の時、母の旧姓ドヌーヴを名乗り映画に初出演。62年ロジェ・ヴァディム監督『悪徳の栄え』で主演デビュー。64年カンヌ国際映画祭大賞を受賞したドミーの名作『シェルブールの雨傘』でスターダムに昇る。以後、ポランスキの『反撥』(64)、ラプノーの『城の生活』(66)、ドミーの『ロシュフォールの恋人たち』(66)と『ロバと王女』(70)、ブニュエルの『昼顔』(66)と『哀しみのトリスターナ』(70)、トリュフォーの『暗くなるまでこの恋を』(69)、マストロヤンニと共演したフェッレーリの『ひきしお』(71)、ルルーシュの『夢追い』(78)といった作品で熱演、怪演を披露。セザール賞の主演女優賞も『うず湖』(75)、『海辺のホテルにて』(81)「Agent trouble」(87/ジャン=ピエール・モッキー監督)、『夜のめぐり逢い』(88)、『私の好きな季節』(92)、『夜の子供たち』(96)、『ヴァンドーム広場』(98/ヴェネツィア映画祭最優秀女優賞受賞)で候補となり、『終電車』(80)と『インドシナ』(92/アカデミー賞主演女優賞候補)で2度受賞した。他にも、ラウル・ルイスの「犯罪の系譜学」(96)と『見出された時』(99)、ガレルの『夜風の匂い』(99)、カラックスの『ポーラX』(99)、フォン・トリアーの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(00)、オゾンの『8人の女たち』(02)と、若手や奇才との仕事を積極的に取り組む一方、ブノワ・ジャコのTV大作「Marie Bonaparte」(04)、5度目のテシネ作品でドパルデューと共演するなど、話題を提供し続けている。



フランチェスカ:ステファニア・サンドレッリ
STEFANIA SANDRELLI, Francesca

イタリア人だけれどフランチェスカ(フランス女性)という元モデル役でナポリ港から乗船するのは、オリヴェイラ作品は初出演ながら、マストロヤンニやドヌーヴとの共演でもお馴染みのイタリアのトップ女優ステファニア・サンドレッリ。
1946年6月5日イタリアの港町ヴィアレッジョ生まれ。地元のミス水着美人コンテストで2位に入賞し、モデルの仕事を始める。早速映画界からも注目され「Gioventu' di notte」でデビュー。続いてマストロヤンニ共演の『イタリア式離婚狂想曲』(62)の世界的ヒットによってスターとなった。その後も、ベルトルッチの『暗殺の森』(70)、『1900』(76)、ピエトロ・ジェルミの『アルフレード アルフレード』(72)、エットレ・スコーラの『あんなに愛し合ったのに』(74)から、一連のマリオ・モニチェッリ作品と、ドラマからコメディまで幅広く演じる。一方でアルベルト・モラヴィア原作ものや大胆ヌードで話題となった『鍵』(84)とセクシーな役所でも人気を博した。なお、69年カルロ・リッツァーニ監督『山いぬ』でサン・セバスティアン映画祭最優秀女優賞、「ミニョンにハートブレイク」(89/助演賞)、カブリエーレ・ムッチーニ監督「L'ultimo bacio」(01/主演賞)、マルコ・ベキス監督「Figli/Hijos」(02/主演賞)でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞、「La terrazza」(80/エットレ・スコーラ)、「ミニョンにハートブレイク」(89)、「L'ultimo bacio」(01)、『星降る夜のリストランテ』(98)でナストリ・ダルジェント賞助演女優賞を受賞。他に、『誘惑されて棄てられて』(63)、『ミラノの恋人』(74)、『女テロリストの陰謀』(84)、ドヌーヴ共演『女たちのテーブル』(84)、『ラ・ファミリア』(87)、『ハモン ハモン』(92)、『魅せられて』(96)、『裸のマハ』(99)、アルキブージ監督「Renzo e Lucia」(04/TV)など。


ヘレナ:イレーネ・パパス
IRENE PAPAS, Helena

トロイのヘレンならぬギリシアの国民的歌手ヘレン役でアテネ港から乗船するのは、「Party」(96)、「不安」(97/第3話「河の母」)に続いて、これが3度目のオリヴェイラ作品となるギリシアの名女優イレーネ・パパス。
1928年9月3日ギリシア、コリントのチリモディオン生まれ。本名 Irene Lelekou。12歳よりアテネ王立演劇学校で学び、17歳で舞台出演デビュー。48年に映画初出演。以来、舞台と映画の双方で活躍を始め、54年にはイタリアの歴史大作『侵略者』『テオドラ』に連続出演して国際的にも知られるようになり、56年にはロバート・ワイズ監督『悪人への貢物』でアメリカ映画デビュー。61年のゲオルゲ・ツヴェラス監督「Antigoni」でアンティゴネーを主演した後、エウリピデス作ギリシャ悲劇三部作『エレクトラ』62/表題役)、『トロイアの女』(71/トロイのヘレン役)、『イフゲニア』(77/クリテムネストラ役)や『その男ゾルバ』(64)、「肉体の証言」(86)といった一連のマイケル・カコヤニス監督作品で熱演した。なお、歌手としてもヴァンゲリス(編曲・演奏)との共演でアルバム「Odes」(79)と「Rapsodies」(86)をPolydorよりリリースしており、本作で歌われたギリシア民謡「Neranzoula (Le Petit oranger)」は前者にも収録されている。他に、『ナバロンの要塞』(61)、『悪い奴ほど手が白い』(67)、『暗殺』(68)、『1000日のアン』『Z』(69)、『オリンポスの詩』(70)、『ザ・メッセージ』(76)、『エボリ』(79)、『砂漠のライオン』(80)、『エレンディラ』(83)、『眠れぬ夜のために』(84)、『予告された殺人の記録』『ハイシーズン』(87)、「Le Banquet」(マルコ・フェッレーリ/TV)、『オデッセイ』(97/TV)、『コレリ大尉のマンドリン』(01)などがある。


ジョン・ワレサ船長:ジョン・マルコヴィッチ
JOHN MALKOVICH, John Walesa

船を住まいとし定住することなく各地を転々とする船長ジョン・ワレサ役を演じるのは、『メフィストの誘い』『家路』に続いて3度目のオリヴェイラ作品となる役柄同様ヨーロッパに暮らすポーランド系ユダヤ人の米国俳優ジョン・マルコヴィッチ。
1953年12月9日イリノイ州クリストファー生まれ。イリノイ州立大学在学中より演劇をはじめ、76年よりゲーリー・シニーズと組み「ステッペンウルフ・シアター・カンパニー」を旗揚げ。以来、出演はもとより、演出も手掛けるようになる。82年サム・シェパード作《トゥルー・ウェスト》でブロードウェイ・デビューし、トニー賞受賞。続く《セールスマンの死》でも評判となり、84年のTV映画版でエミー賞受賞。『プレイス・イン・ザ・ハート』(83)で映画デビューするや、世界的に注目を集めると共にアカデミー賞助演男優賞にもノミネート。以来、『キリング・フィールド』(84)、ギリシアが背景の『哀愁のエレーニ』(85)、スピルバーグの大作『太陽の帝国』(87)、ハンプトン劇の映画化『危険な関係』(88)と話題作に次口出演。『シェルタリング・スカイ』(90)で出会った第二助監督ニコレッタ・ペイランと再婚してヨーロッパに居を移す。『ザ・シークレット・サービス』(93)で再びアカデミー賞にノミネート。アントニオーニの『愛のめぐりあい』(95)に続いて、オリヴェイラ作品に主演。以後『コン・エアー』(97)、『仮面の男』(98)、『見出された時』『マルコヴィッチの穴』(99)、『レ・ミゼラブル』(00/TV)、R.ルイス監督「Les ames fortes」(01)などで活躍。ハビエル・バルデム主演「The Dancer Upstairs」(00)で映画監督にも挑戦し、製作も担当する「The Libertine」(04)ではシャルル国王を演じる。なお、2003年はパリでテリー・ジョーンズ作《Hysteria》をマリー・ジラン出演で演出した。

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Introduction/解説
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驚異的なパワーの持ち主 マノエル・ド・オリヴェイラ
2003年ヴェネツィア国際映画祭で本作品が上映されるやいなや、惜しみない賞賛と割れんばかりの大喝采で迎えられた95歳の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。2001年ヴェネツィア国際映画祭で、これまでの功績に対しブレッソン賞を受賞したことは記憶にも新しいが、昨年度は更にイタリアで、ゴダール、ヒッチコック、カザンなど錚々たる巨匠が受賞した名誉ある'Maestros of cinema'を受賞した。最新作では、9.11の事件をきっかけにして、西洋文明をテーマに雄大な地中海文明を辿る母と娘の旅を描きあげた。観客の理性をも刺激する映画でありたい−という監督の信念によって描かれる美しい映像美と流麗な音楽は、観客の五感すべてに大きな問いかけを残すことだろう。2003年12月に開催された小津安二郎生誕100年シンポジウムへの正式参加の為、急遽来日を果たした監督は、折りしも小津安二郎と同じ12月12日に95歳の誕生日を迎えたばかりであるが、まだまだ映画に傾ける情熱は熱く、日本の映画ファンに対しても「この来日は最後ではありませんー」と会場を沸かせた。


古代文明と西欧文明。―今、長い長い人間の歴史と文化の足跡を辿る航海がはじまる。
かつてのポルトガルの全盛期を現代に伝えるベレンの塔をはじめ、オデュッセウスの物語で有名なナポリの卵城、ギリシャのアクロポリスの丘、そして古代文明の最高峰エジプトのピラミッド・・・。二人が旅をするのは幾千年の時をかけて現代へと受け継がれてきた長い歴史の軌跡だった。それまで本でしか知らなかった遥かな人類の軌跡に、どうしてなの?と問いかけるマリア=ジョアナの好奇心は留まるところを知らない。歴史学者であるロ-ザ=マリアのアクロポリスの丘で語られる女神アテナの物語や、中世時代の物語は、遠い悠久の彼方の物語を今を生きる私達の目の前に甦らせる。

豪華キャストが集結し、客船の上で繰り広げられる華麗なる人生論。
フランスの起業家のデルフィーヌは、独立心が旺盛で束縛を嫌う自由主義者。ナポリから搭乗するのは、かつてファッションモデルとして一世を風靡した未亡人のフランチェスカ。ギリシャの女優であるヘレナは、アテネから船に乗り込み、芸術に生きるほどの幸せはない、と瞳を輝かせて演劇の魅力を語る。マリアとローザが招待された、船長がホストを務めるこのテーブルでは、それぞれが、それぞれの国の言葉(フランス語・イタリア語・ギリシャ語・英語・ポルトガル語)を使っているにも関わらず、お互い理解し合いながら愛や人生を語り合っている・・・。まるで世界に、言葉の壁がないかのように。この華やかな食卓を彩るのは、カトリーヌ・ドヌーヴ、イレーネ・パパス、ステファニア・サンドレッリという各国を代表する女優陣に加え、ドヌーヴとはオリヴェイラ作品で3作目のタッグを組むジョン・マルコヴィッチ、それに母親役という新たな挑戦を果たしたオリヴェイラ作品のミューズ、レオノール・シルヴェイラである。また、好奇心旺盛な娘マリアを演じるのは、監督が知り合いの夫婦の子供をオーディションして決まった、映画初出演のフィリパ・ド・アルメイダ。
オリヴェイラ監督ならではの豪華な顔合わせが一つのテーブルに集って、華やかな晩餐がはじまろうとしている。


 
Story/物語
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母と娘の歴史を訪ねる旅
@ポルトガル ベレンの塔
Aフランス マルセイユ
Bイタリア ナポリの卵城・ベスビオ火山・ポンペイ
Cギリシャ アクロポリスの丘・パルテノン神殿・エレクティオン神殿・円形劇場
Dトルコ 聖ソフィア大聖堂(アヤソフィア寺院)
Eエジプト ピラミッド
F紅海
Gイエメン共和国 アデン



「歴史には、いくつも戦いがあるのよ
そうして国が生まれるの、どんな国もそうよ。
権力が欲しくて戦うから戦争になる、人間の本能ね」

 

「こんな船旅は心のオアシスね。見知らぬ人と出会い、新たな友情を結ぶ・・・
失われた幸せを埋められる唯一の慰めだわ」


2001年7月、7才の少女マリア=ジョアナ(フィリパ・ド・アルメイダ)は母親のローザ=マリア(レオノール・シルヴェイラ)と一緒に、インドのボンベイにいるパイロットの父親に会うために地中海をめぐる船旅に出発した。歴史の教授であるローザ=マリアは、これまで本の中でしか知らなかった人類の歴史をその目で確かめたかったのだ。
ポルトからはじまり、マルセイユ、ポンペイの旧跡、アテネ、イスタンブールや、エジプトのピラミッド...。それは、西洋文明に大きな影響を残し続けている、幾千年にも渡る地中海文明を巡る遥かなる時空の旅だった。ポルトガルの全盛を伝えるベレンの塔や、自由と平等と友愛のもとに革命を起したフランスのマルセイユ、ヴェスヴィオ火山の噴火によって滅びた古代都市ポンペイ、地中海と紅海を結ぶエジプトのスエズ運河・・・・。それらの軌跡を前に語られる、ローザのオデュッセウスの物語や、ローマ神話のお話は、どれもこれも、これまでマリアが知らなかった世界の物語だった。人間って、どうして戦争をするの?モスクってなに?中世ってなに?・・・マリアの好奇心は留まるところを知らない。

ある夜、マリアとローザは船のデッキの上で声をかけてきたアメリカ人の船長(ジョン・マルコヴィッチ)と知り合いになり、夕食の席に招かれた。そこには起業家であるフランス人デルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)、元モデルのイタリア人フランチェスカ(ステファニア・サンドレッリ)や、舞台を愛する女優であり教授でもあるギリシャ人のヘレナ(イレーネ・パパス)といった、異なる国籍を持つ3人の女性が楽しく人生を語り合っていた。その人々は、不思議なことに、それぞれが自国の言葉を話していた。お互いがお互いの話す言葉を理解している。まるで世界には言語の壁という隔たりがないのではないかのように。マリアはそこで船長がアデンで買った可愛い人形をプレゼントされた。やがて、その人形はマリアにとって片時も離れることの出来ない宝物となっていった・・・・。

Review/各界からの絶賛コメント&海外批評
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★これほどまでに贅沢に作り込まれた映画がかつて存在しただろうか!
超必見の大感動作!!        
作家:阿部和重

★文明を伝え育むノアの箱舟のような客船と、テロの深淵。
これは現代世界そのものの鮮烈なアレゴリーだ。        
評論家:浅田彰

★文明の衝突?交流?9.11以降の世界を生きるぼくたちに放たれた、
美しく、そして危急のメッセージだ。          
占星術学者:鏡リュウジ

★地中海文明の栄光の歴史に彩られた華やかで哀しい旅の物語、
その強烈な印象は忘れがたい。
美術評論家: 高階 秀爾

★なんと美しく美しく澄みきった画面。
古代ローマ、ギリシア、エジプトの遺跡をめぐる至福の旅だ。
そこにはヨーロッパの神話と歴史が結晶している。
それだけに、ラストの衝撃にはだれもが息をのむだろう。     
評論家:中条省平


★悠久の文明をたのしみながら地中海を優雅にクルーズ、というわけではなかった。
結末から、この映画の本当のすごさが始まる。     
服飾評論家:深井晃子


★地中海をめぐりながら古代西洋文明に想いを馳せ、
まるで同じ船に乗り込んだような不思議な映画体験でした。
思いもやらぬラストシーンが衝撃的で息が止まりそうでした。     
女優:三田寛子


★オリヴェイラ監督のみずみずしさに驚きました。
人間は年齢ではなく、志ですね。       
女優:吉行和子


★こんなラストになるなんて!?
人間は過去の文明や歴史から何ひとつ学ぶ≠ニ言うことができないのでしょうか・・・
女優 友里千賀子


★★★★★
古代の雰囲気と古典文学の概念― 崇高な作品である。
ドヌーヴとテーブルを囲む、目も眩むばかりの真っ白の制服に身を包んだ船長、
マルコヴィッチは驚くほど素晴らしく、このメロドラマティックなエンディングに、
大きな衝撃を受けるだろう。
―THE GAURDIAN

★★★★★
オリヴェイラは自らの芸術の頂点にいる。
そして、はっきりと断言する必要性を感じることなく、その事を知っている。
―L'HUMANITE

★★★★★
95歳で、オリヴェイラは世界を認識する。
もう、これ以上認識する必要がないほど。本作は、もはや衝撃である。
―LIBERATION

 







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