OLIVEIRA INTERVIEW       2003年12月10日日仏学院:完成披露試写会&記者会見にて


 私の映画が観客に何かそれ以上のものをつたえるものであって欲しいと思います。


はじめに―
この作品は、ドキュメンタリーではありません。また教育映画でもなければ、観光映画でもありません。科学的な作品でも歴史的な作品でもありません。完全なフィクションです。テーマは西洋文明です。

本作品のテーマについて
これまである一定の方向に進んでいた西洋文明が、9.11のテロ以降、別の方向に向かいだしたのではないだろうかと思います。9.11は、今まで続いてきた西洋文明に終止符を打つものでなかったか。太古、中近東やインド、ギリシャから複雑に歩んできた西洋文明が、別のシステムに取って代わる。西洋諸国にとってそれは簡単なことではありません。そんなことを考えながら本作品のアイデアを思いつきました。

これまで多くのヒロインを描いてきた監督の女性観
今、世界そして人類というのは、男と女で成り立っています。昔、男女の差がなく両性で成り立っていた頃はいいのですが、男性、女性という区別がある現代となっては、そのどちらが欠けてもいけません。私自身は、女性というものを人類にとってとても重要なものと考えています。「神だって女性の体内から生まれてきたのだ」というポルトガルの有名な作家が言った言葉がありますが、人間にとって女性の存在というのは最も大切であり、不可欠であります。本作品でも母親であるマリアは、非常に人間的です。女性というものは、もっとより人間的であるし、そうであるべきだと思います。今、人間社会は目に見えない亡霊と戦っているように感じます。それは、地球外生物というものではなく、別の人間です。人類というのは全ての人々が平等のはずですが、そうでないのが現状です。全ての人との間に調和があって欲しいし、男女の間にも調和があって欲しいと願っています。

映画とは―
映画を撮っていく上で一番難しいのはシンプルさをどう表現していくかということです。
現代は、いろいろなことが盛りだくさんになっていてスペクタクルの様なものの方が、観客を惹き付けているような傾向にありますが、こういった類の映画はドラッグのようなものだと思っています。映画はドラッグではいけません。映画はアートでなければならないと思うのです。

観客の理性をも満足できる映画を―
観客が、映画を観ながら感情だけではなく理性も動員しながら参加出来るような作品にしていきたい、つまり観客の感情だけではく理性も納得させたい、そういった作品を撮りたいと思っています。派手な作品であれば人は振り向きますが、それらには、実は魅力もなければ深さもありません。観客はおそらくそのようなものに値しない。観客とはもっと素晴らしいものに値すると思うのです。私の映画が、観客に何かそれ以上のものを伝えられるものであって欲しいですし、そして、そこでまた観客が、それぞれのアイディアや考えを付け加えていけるような作品でありたい。そのために作品はシンプルでなければならないと思っています。

人生にとって家とは―今回の「船」のショットについて
本作品の「船」についてお話したいのですが、「船」というのは色々な見方が出来るのではないのでしょうか。「船」は、ひとつの町で、家であり、また家庭でもあるのでは、と私は思っています。そういうことを考えながら私は「船」を撮影しました。この映画の場合、船長の人生というのが、まさに「船」を家としてとらえている人生であり、彼にとって「船」は、自分の家であり、家庭であり、ほっと出来る場所です。




 



氷海の伝説_sb



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